KAT-TUN'S CLOSET

KAT-TUNのデビュー以前から現在までの素敵な衣装を集めました。

【Interview with Creator】高橋紀子・若林ケイジ(コスチュームデザイン)

【Interview with Creator

 

 

高橋紀子(コスチュームデザイン)

「掛け合いから作品が生まれる。本当のコラボレーションですね」

 KAT-TUNの衣裳制作に携わるようになって、2年経つんですけど、初めて会った時は、「こんなヤンチャな人たち、無理かも」って思いました(笑)。それぐらい本人たちにハッキリしたキャラクターと明確な意志があるから、何となく着るとか、何となく着てもらうっていう仕事のやり方はありえない。だから、参加させてもらう時は、「こういうのどうかな?」「だったらこうしよう」っていう掛け合いをしながら作っていく感じです。もちろん、その時のノリとか気分も拾っていかなければいけないから、みんなに助けられている部分が本当に多いですね。しかも、自分の考えていた方向性と、全く違う角度からズバッと意見を言われたりするから、「そういう手もあったか」って発見があって、どんどん作品が良くなっていく。本当にコラボレーションという感じですね。

 それに、もともとKAT-TUNの衣裳を作り始めた時から、「衣裳じゃない衣裳を作りたいね」って、話をしていたんです。ギリギリ衣裳なんだけど、それぞれの個性と好みを活かした私服の延長線上にある派手な私服(笑)。東京ドームのような大きい場所だと、遠くの客席から見ても、どこに誰がいるかわからないといけないし、着てくれるメンバーのことを思うと、気持ち良く着てもらいたいから、細かい手仕事も大切にしたいなって思うし、そのバランスが難しいですね。素材とかも動き回るから極力軽くしてあげたいけど、洋服として伝わるモノがないといけないから、結果的に重くなっちゃったりするんですよね、わたしの場合は(笑)。あとは、女の子が見てカワイイって思うかどうか。見せるってことを考えると、女子的な目線は絶対必要だと思う。彼らもステージでどう見えるかってことに対して、プロフェッショナルだから、そこはすごく意識して作ってますね。

 KAT-TUNて、本当にオリジナルだし、衣裳と同じで仕事も私服の延長線というか、流されずにそれぞれのスタンスで、ポリシーを持ってやってると思うんです。本当に熱い人たち(笑)。このまま走り続けたら、どうなっていくんだろう? 楽しみですよね。

 ■高橋紀子 PROFILE

 Crystal Ball、GARCIA MARQUEZ gaucheデザイナー。KAT-TUNの衣裳制作には、2007年『TOUR cartoon KAT-TUN Ⅱ you』より参加。『喜びの歌』『Keep the faith』『LIPS』『DON'T U EVER STOP』の衣裳制作に参加。2009年『KAT-TUN LIVE Break the Records』では、衣裳デザインのアドバイザーを担当。

 

 

若林ケイジ(コスチュームデザイン)

KAT-TUNのコンサートって、日本一のエンターテインメントだと思います」

 衣裳の製作期間は、2ヶ月ほど頂いていて、最終的に50数着作りましたが、パターンを作り始めたのは、本番2週間前くらいでした。 本当に面白かったですね。感激しました。心が休暇を必要としないほど、毎日楽しくてしょうがなかったですね。

 女性アーティストの場合だと、例えば「着物生地でドレス」、「エナメルの赤」とか、具体的な素材やイメージを投げかけられて作ることが多いので、ブレがないんです。だけど、今回は彼らのクリエイション優先で、ルールも無いし、6人が演出を理解した上で、どんな洋服を着たいと思っているか、そのイメージをカタチにする作業だったので、すごく難しかったですね。ほとんど初対面だし、みんなシャイなわけです。具体的なキーワードを挙げる人もいれば、会話の中で糸口を見つける人もいる。ギリギリのところまで、メンバーの意向を汲みたいと思っていたので、必然的に製作期間が短くなってしまいました。

 製作がいよいよ佳境に入ると、自分が暗中模索状態で、製作していたことに気づいたんです。仮衣裳で、本番と同規模のリハーサルを見ると、演出に埋もれて、メンバーが輝いて見えなかったんですね。結局、あの世界観をファンの人に楽しんでもらおうって考えると、動くための機能さえあれば、着る洋服という意味での完成度は必要ない。重くなろうが、尋常じゃない数のスタッズやラインストーンを付けたり、荒削りな印象を服に残したほうが、彼らの強さを引き出せたり、ステージでの存在感が増すことがわかって、目の前がパッと明るくなったんです。衣裳製作者として、その辺の認識はあると自負していましたが、想像以上のパワーと強さが要求されていたことを理解して、ツアーが始まってからもギリギリまで進化させてもらいました。ほんといい経験になりましたね。

 それにKAT-TUNのコンサートって、たぶん日本一のエンターテインメントじゃないですか。参加できるなら、もう何度でも経験したいです。いわば"奇跡の6人"ですから。今、自分は、ステージに必要だった圧倒的な印象を持ったリアルクローズを作りたい心境です。

 ■若林ケイジ PROFILE

 1995年にナショナルスタンダードを発足。東京コレクションへの参加のほか、大手ブランドのプロデューサーとして活躍。現在はアーティストの衣裳製作等、幅広く活動中。2009年『KAT-TUN LIVE Break the Records』では、多くの衣裳を手がけた。

 

 

出典・引用